TopPage旅と地質

岐阜県のいろんな地域

 大学の巡検では、岐阜の様々なところに行きました。
 下の地質図(境界適当)を見ても、様々な年代・種類の岩石が分布していると分かります。

【岐阜県】
岐阜県の地図 無色:沖積層
薄い水色:洪積層
茶色:第三紀〜第四紀火山岩類
濃いオレンジ:第三紀層(瑞浪層群など)

鮮やかな赤:後期中生代花崗岩類(苗木花崗岩など)
薄いオレンジ:中生代火山岩類(濃飛流紋岩類)

緑:手取層群
褪せた赤:船津花崗岩類
濃い水色:中・古生層(美濃帯など)

紫:飛騨変成岩類

【オススメページ】
岐阜県の地学

【岐阜県の地史の概要】
1.飛弾帯の形成 …→上麻生礫岩
2.美濃帯の形成 …→鵜沼・郡上の鍾乳洞
3.手取湖の出現 …→横山衝上断層
4.激しい陸上の火山活動
5.湖の形成と海の進入 …→瑞浪
6.東海湖の出現と飛弾地域の火山活動
7.平野・盆地の形成と新しい火山活動 …→巌立


1.飛弾帯の形成
 岐阜県の北部は当時の大陸の東にあたり、その地下深いところでは20億年以上も前の花崗岩が何回も変成作用をうけて飛弾片麻岩になった。
 このときの片麻岩が河川によって運搬され堆積して上麻生礫岩になったと考えられている。
日本最古の石博物館 七宗町(しちそうちょう・地図の1) 日本最古の石博物館
 文字通り日本最古の石の博物館です。何年か前に地域おこしで立てられたそうです。レッキーというキャラクターが地球の歴史を教えてくれます。最後にクイズ4問全問正解すると、カプセルに入った石がもらえます。こころにくい。私はサラサ石という角礫岩をげっとしました。
日本最古の石を含む石 七宗町(しちそうちょう・地図の1) 上麻生礫岩
 飛騨川(下流は木曽川)沿いに見られ、分布は限られています。堆積岩起源の礫岩は角ばっており、片麻岩や花崗岩起源の礫岩は丸いそうです。この石の中の花崗岩起源の片麻岩の礫がルビジウム・ストロンチウム アイソクロン法で20億年と測定されたそうです。ちなみに発見したのは名大の博物館館長の足立先生です。


2.美濃帯の形成
 チャート・砂岩・泥岩・石灰岩などからなる付加体がプレートの運動によってひっついた(ジュラ紀)。
拡大写真 鵜沼(うぬま・地図の2)  三価の酸化鉄を含む赤チャートと二価の酸化鉄を含む青チャートが見える。木曽川沿いを歩いていると、泥岩や砂岩も見ることができる。
*2003.09.30 鵜沼巡検
 付加体というものを始めて見た。付加体の構造を見ながら、鵜沼から木曽川沿いに上流へ歩いて行った。褶曲や小さな断層などなどを見た。
*アクセス:名鉄犬山線新鵜沼駅
拡大写真 坂祝(さかほぎ・地図の3) 坂祝褶曲  坂祝褶曲は衛星からも見ることができます。
*2004.05.25 木曽川野外実習
 チャート露頭を方位磁針と巻尺を使って計って、スケッチした。
*アクセス:名鉄犬山線新鵜沼駅→JR鵜沼駅→高山本線JR坂祝駅
月光石 郡上の鍾乳洞(地図の12) (写真は大滝鍾乳洞)
美濃帯の石灰岩中に生じた断層が大量の地下水によって溶解、拡大されてできた鍾乳洞。
この鍾乳洞は上下によく伸びていて、滝もある。地下水で洗い流されるので白く、透明度が高い。
また、母岩の石灰岩にはペルム紀のフズリナ化石が大量に含まれる。
大滝鍾乳洞


3.手取湖の出現
 手取湖が形成され、その時期に堆積した地層を手取層群といい恐竜や多くの動植物の化石がみつかる。
横山衝上断層 神岡町
(地図の4)
横山衝上断層
 写真の右奥にある斜めの露頭を立体的に見てください。手前の白いのが砂岩で,その上が手取層群の泥岩だそうです。その面を延長して奥では,手取層群の上に船津花崗岩が乗っています。 船津花崗岩はジュラ紀,手取層群はジュラ紀〜白亜紀のものなので,新しい地層の上に古い地層がのし上がっている(衝上断層)ことになります。


4.激しい陸上の火山活動
 手取湖が消滅すると、東濃から飛弾地域にかけて広い範囲で巨大な陥没運動にともなう激しい火山活動がおこり、流紋岩質の熔結凝灰岩(濃飛流紋岩:流紋岩ではなく凝灰岩)を形成した。
濃飛流紋岩 宮村
(地図の5)
濃飛流紋岩
濃飛流紋岩は実際は流紋岩ではなく熔結凝灰岩。名づけた人がまちがったとか。濃飛流紋岩は火砕流として大量に噴出された火山灰が自らの熱と重さによって溶けてくっついてできたものです。結構硬いです。
※苗木の鉱物
東濃から飛騨地域に起こった激しい火山活動は濃飛流紋岩だけでなく、花崗岩も形成した。この花崗岩の中には空洞があり、鉱物が大きく結晶したペグマタイトがある。この地域で採れた鉱物はのびのびと育っていることが多い。
煙水晶が有名で、他にも長石・トパーズ・緑柱石が産出する。


5.湖の形成と海の進入
 東濃から中濃地域にかけて湖ができ、やがて海へつながっていった。そこに堆積した地層が瑞浪層群となり、哺乳類をはじめ多くの動植物が化石として含まれる。
岐阜県瑞浪地域(地図の6)参照
*アクセス:JR中央線瑞浪駅から徒歩20分くらい
*見える層:瑞浪層群明世累層(新生代新第三紀)



6.東海湖の出現と飛弾地域の火山活動
 瑞浪層群を堆積させた海が消滅すると、現在の伊勢湾を中心に東海湖と呼ばれる湖が生まれ、東海層群が堆積した。この頃、奥美濃地方で大きな成層火山が形成され、大規模な火砕流堆積物ができた。


7.平野・盆地の形成と新しい火山活動
 木曽三川が運び込む土砂が濃尾平野を形成した。阿寺断層・根尾谷断層・跡津川断層などの断層活動が本格化していった。
 また、飛弾地方では大規模な火砕流の噴火を始め、御嶽・乗鞍岳・焼岳・白山などの火山活動がはじまった。
巌立 小坂町
(地図の7)
巌立の柱状節理
 この時期の終わりごろに御嶽山(3,067m)の火山活動初期の噴出物である摩利支天第六熔岩(安山岩質)が渓谷に沿って17km流下しつつ形成された柱状節理です。六角形の柱状節理はあまりみれませんが四角〜五角形が多いです。


  【その他いろんなところ】
*東濃地科学センター
下のほうにウラン 土岐市
(地図の8)
ウラン鉱床
 この鉱山は日本で一番大きなウラン鉱床があるところです。そしてこのセンターは地下のことを研究してます。例えば,原子力発電で使い終わった核を地面に埋めて処理しても大丈夫かとか。このときはなんと地下1kmくらいのところに行かせてもらいました。この写真にウランが写っています。ウランは酸化的環境で6価になって溶けやすく,還元的環境で4価になり沈殿しやすくなります。つまり,花崗岩から溶け出したウランが酸素の少ない地下で沈殿するんだそうです。ウランは紫外線をあてると種類によって違いますが緑や紫に光るようです。
月吉断層 土岐市
(地図の8)
月吉断層
 「断層」というと,活断層を思い浮かべるかもしれませんが,活断層は第4紀(約200万年前〜現在)にずれた断層で,今後もずれる可能性があるものをいいます。月吉断層は500〜1500万年前に活動したもので,もう固まっていてずれないそうです。


*春日村
揖斐川上流 春日村
(地図の9)
揖斐川の上流  石が多い所に来る時は底のつるつるになったスニーカーで行くのではなく,滑らない靴で行くのがいいなと切に思います。 今回の巡検の目的は,春日村付近の接触変成作用の観察です。ハンマーで石を割って新鮮☆な面を出します。表面は風化されているので,中身を出さないとわからないことが多いのです。ちなみに,ハンマーはとがったのと丸いのがありますが,固い石を割る時は丸い方で叩き割ります。
バラ輝石 春日村
(地図の9)
バラ輝石
石を割るとこんなピンクのが出てきました。(割ったのは私ではありません(苦笑))。ここの石は珪灰石などステキなものがたくさんあって感激しました。鉱物とか好きな人は行ってみるといいと思います。
石の拡大写真はまいStoneこれくしょんの中にあります。
*アクセス:JR東海道本線大垣駅→近鉄養老線大垣駅→揖斐駅→名阪近鉄バス春日線
*ベストスポット:揖斐川の河原
*見える層:接触変成岩。『君が代』のさざれ石はここにある石だとか。



*分水嶺
ひるがの高原(地図の10) 分水嶺
 池です。この水は日本海側に行く水(庄川になる)と太平洋側に行く水(長良川になる)が分かれるところです。ところで「ひるがの」って「蛭ヶ野」って書くようです。たしかに湿地だからなぁ。
分水嶺とは ひるがの高原(地図の10)  もっと詳しい図発見。このように流れていくようです。


*白狐温泉
温泉? 瑞浪市
(地図の6)
 温泉とは名ばかりのでした。成分的には温泉なんでしょうね。
 でもこの温泉すごいのです。水と一緒にガス(主にメタン)が出ますがその中のHeやArの元素の割合を調べると,地震前に色々と変化が起こるのです。
 阪神大震災のときも1時間前くらいに元素の量が増えていたそうです。でもどこで起こるかわからないし,起こった後で変化に気付くから地震予知にはならないそうです。


*愛岐処分場
埋立地 多治見市
(地図の11)
 名古屋市の可燃ゴミの焼却灰と不燃物を埋め立てているところです。でも場所は岐阜県多治見市。今は1年に10万t埋めているそうです。分別が細かくなかったころは28万t埋めていたそうです。分別するとそんなに減るんだね。そのうち生ゴミを資源ゴミにして,2万tに押さえたいという話もあるそうです。
 埋めるだけでなく,雨が降って出る汚水も処理しています。そのための施設を見学しましたが,やっぱりかなり臭かったです。


*カミオカンデ(旧神岡鉱山)
カミオカンデの水槽のすぐ上 神岡町
(地図の4)
岐阜県神岡町に到着して,そこからバスでふしぎなトンネルを走ってカミオカンデに到着。 写真はカミオカンデの水槽の真上の風景です。宇宙に興味があると言っていた後輩はとても感激してはしゃいでいました。
※神岡鉱山  飛騨片麻岩中に含まれる結晶質石灰岩に作られた鉱床で、鉛・亜鉛の日本一の金属鉱床(三井)。
 方解石・閃亜鉛鉱・黄銅鉱・黄鉄鉱・方鉛鉱・蛍石・魚眼石・紫水晶・石英・孔雀石・柘榴石・珪灰鉄鉱が採れる。
 閃亜鉛鉱に含まれるカドミウムが流れ出して、富山県神通川付近でイタイイタイ病が発生した。


*阿寺断層
川上村のとある谷にある断層 川上村・福岡町・付知町・加子母村…etc. 阿寺断層は岐阜−長野の県境付近を北西−南東方向に走る長い断層です。
*私の卒業論文はおおまかに断層とその周辺岩盤の割れ目の特徴と分布についてという感じのものです。阿寺断層で調査を行いました。


TopPage旅と地質