TopPage巡検日記

愛知県設楽地域

 大学2年の春休みに愛知県設楽郡東栄町付近で地質調査を2週間してきました。
 この地域は中央構造線に近く、昔は火山活動も活発だったので、火成岩・堆積岩・変成岩が見られます。

【東栄町の場所】
東栄町は愛知県の東にある山がちな町です。
愛知県の地図

【概要】
*アクセス:電車ならJR飯田線東栄駅、車なら、東名高速道路豊川ICから国道151号
*おすすめスポット:東栄温泉(温泉もあって、ご飯も食べれます)
*おいしいもの:東栄温泉にあるうどん
*見える層:
 ・設楽層群北設亜層群(田口累層・川角累層・下田累層・坪沢累層) 設楽第三紀層(今の瀬戸内海のような場所で堆積した地層)
 ・設楽層群南設亜層群(大峠累層・明神山累層) 設楽火山岩類(富士山や箱根くらいの火山があったと考えられている)
↓調査地域でみられたもの
 基盤東栄累層坪沢累層大峠累層安山岩など
岩相花崗岩と変成岩からなる。変成岩は黒雲母が並んでいる。礫岩〜泥岩。基盤とは不整合。凝灰質砂岩泥岩・凝灰岩。凝灰角礫岩。ところどころに絹雲母なるものが入っています。安山岩と珪化安山岩。柱状節理が発達する。珪化安山岩は白い。
できた時の環境付加体と元あった花崗岩が変成を受け(領家変成帯)、その後花崗岩が貫入して軽く熱変成を受ける。基底礫岩から始まり、砂岩泥岩と堆積する。この辺りは昔、設楽海というのがあった。東栄累層の後に堆積した。この辺りは火山活動が活発だったので、火山灰とともに砂岩泥岩が堆積した。凝灰岩もできた。大峠というところから溶岩が流れてきてできた。いろんな時期に貫入したと考えられる。珪化安山岩は安山岩が熱水変質を受けたものと考えられる。


【露頭情報】
 場所みどころ
振草の林道この林道沿いはずっと大峠累層が見え、凝灰角礫岩という名前どおりの岩石が見えます。
栃畑の林道この林道沿いはずっと珪化安山岩の露頭を見ることができます。今にも崩れてきそうです。
古戸山の谷露頭があります。古戸山の谷を登っていけば、花崗岩が変成岩になる様子を見ることができます。
古戸山の林道(東西方向の東寄り)泥岩が続いています。泥岩は見ればわかるので調査は簡単です。風化した様子(たまねぎ状風化)も特徴的です。
(露頭ではないけど)
東栄町博物館
模型や岩石や簡単な地史など親切な説明があります。

【その他この地域に関わること】
・中央構造線に近く、領家帯と三波川帯が見れる。
・火成活動が活発なことから、鉱物がたくさん見られる。
・東栄町古戸の鍾乳洞(ジュラ紀付加体もある)
・鳳来湖周辺にある安山岩岩脈1〜12(溶岩が地中で固まり、周りの岩石が風化して、今岩脈だけ残っている)
・地質百選に選ばれた鳳来寺山(ガラス質の松脂岩からなり、塊状の山の形をしている)
・津具金山(武田信玄が軍資金のために開発した)
・長篠の戦(織田信長・徳川家康と武田信玄が戦った)
・設楽第三紀層の頁岩で出来た硯が有名らしい。

【おすすめ本】
「愛知県の中央構造線」設楽地域にも触れており、写真が多いのでいろいろ参考になる。

【14日間の様子】(これから行く人の参考になれば^^;)
■1日目 2月28日(土) 天気:くもり
 名古屋を9時に出て、高速道路を駆使して(*友達の車)12時くらいに東栄町に到着。1日目は調査範囲をぐるっと見たほうがいいということを聞いていたので、ぐるっとまわる。
■2日目 2月29日(日) 天気:雨
 調査ほとんど初日から雨だったので、午前中は東栄町の博物館(310円)に行く。東栄町の地質やら成り立ちまで展示されている。午後は小ぶりになってきたので調査。
■3日目 3月1日(月) 天気:くもり
 先生が来て指導してくださる日。おおまかな地質図を作るためには、東西・南北・Z軸を広く調査することなので、今日は古戸山(Z軸)という調査範囲内のほとんどを占める山に登る。
■4日目 3月2日(火) 天気:くもり
 古戸山を東から攻める。林道沿いに車で行きつつ調査。最後のほうで初めて2組に分かれて調査に行った。
■5日目 3月3日(水) 天気:晴れのちくもり
 最初から2組で調査。私たちは前日登れそうだったところ・もう一つの班は別の林道へ行った。とても大きな珪化安山岩の露頭を発見したらしい。
■6日目 3月4日(木) 天気:晴れのち雪
 古戸山の東西に伸びる林道を調査。今日の露頭は堆積岩が多い。夜に別の班の指導をしていた先生に岩石鑑定をお願いする。
■7日目 3月5日(金) 天気:晴れ時々くもり
 花崗岩と変成岩の境界を探しに行った。花崗岩と変成岩の境界はあまりはっきりしてないが、黒雲母の並び方を見て判断。
■8日目 3月6日(土) 天気:雪
 今日は休憩する日。毎日がんばっていたら疲れてしまう。午後から調査に行く。下粟代や上粟代に行く。いきなり礫岩がでてきた。礫岩の記載は記載事項が多いから面倒。
■9日目 3月7日(日) 天気:くもり
 全然行っていなかった振草地方へ行く。途中まで一緒に登って下りを別ルートで行った。  夜は、4日の先生が持ってきた差し入れのお菓子で飲み会。  
■10日目 3月8日(月) 天気:晴れ
 2回目の指導の日。今日は御殿山という等高線を見てもきつそうな山に登る。この山では凝灰質な砂岩泥岩・凝灰岩と、デイサイトという石英安山岩を見ることが出来た。
■11日目 3月9日(火) 天気:多分晴れ
 昨日大きな山に登って疲れたので、控えめに補足調査。別の班の指導をしていた先生に岩石鑑定をしてもらう。でも、調査することで地史とか少しずつわかってきた気がする。
■12日目 3月10日(水) 天気:晴れ
 一番高い山に行く組と補足調査組に分かれた。補足調査は思ったより早く終わった。800mの山に登っていた男子が頭を怪我したという電話を受けて、迎えに行く。怪我には注意。
■13日目 3月11日(木) 天気:くもりのち雨
 明日が最終日。この2週間長かったけどあっという間だった。今日の午前はひたすら補足調査した。午後は地質図を完成させた。晩にはお別れ会でまったりと飲み会をした。
■14日目 3月12日(金) 天気:くもり
 調査は終わったので、荷物の宅配を頼んだり怪我した友達を病院に連れて行ったりいろいろ。問題は石。車に乗せたら重いし、でも宅配にしたらお金かかりすぎるし。

TopPage巡検日記