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元素名の由来辞典

ラテン語から見た英単語の語源の延長版でもないですが(ないのかよ),
今度は元素記号,元素名の由来をまとめてみました。
ラテン語だけでなく,ギリシャ語が語源になってたり,神話から来てたりいろいろです。
いっそ性質を書こうとも思ったけど,元素の数が数なので,名前の由来のみにします。
*検索したい人は,windowsではCtrl+f,MacではコマンドFでサクサクと検索してください。

**ついで  元素占い

元素記号(英語名):語源<語源の言語>
…補足

【第一周期】
H(Hydrogen): hydro(水)+gen(…を生じるもの)<ギリシャ語>
He(Helium): helios(太陽)<ギリシャ語>
…太陽コロナを観測して新しい発光スペクトルを発見したので。


【第二周期】
Li(Lithium): lithos(石)<ギリシャ語>
…鉱物界に広く存在するから。
Be(Beryllium): 緑柱石(ベリル)の成分として天然に存在するから。
B(Boron): ホウ砂は白色透明なので,「白い」という言葉からつけられた。<アラビア語,ペルシャ語>
C(Carbon): carbo(木炭)<ラテン語>
N(Nitrogen): nitrum(硝石)からgennao(生じる)<ギリシャ語>
…ドイツ語では,sticken(窒息させる)+stoff(物質)。日本語の窒素はドイツ語の直訳
O(Oxygen): oxys(酸)+gen(…を生じるもの)<ギリシャ語>
…酸素原子が「酸」の素であり,全ての酸が酸素を含むという誤解から。
F(Fluorine): fluorite(ホタル石)
…自然界にフッ素の単体は存在せず,ホタル石,氷晶石,フッ素燐灰石などの鉱物として産出するから。
Ne(Neon): neos(新しい)<ギリシャ語>


【第三周期】
Na(Sodium): natron(炭酸ナトリウム)<ラテン語>
…英語名はsuda(ソーダ)<アラビア語>から。
Mg(Magnesium): Magnesia(ギリシャの地名)
…マグネシア地方からマグネシウム鉱石である滑石が産出することから命名。
Al(Aluminium): alumen(ミョウバン)<ギリシャ語>
…ミョウバンはアルミニウムの塩
Si(Silicon): silex(ケイ砂,硬い石,火打石)<ラテン語>
P(Phosphorus): phosphoros(光をもたらすもの)=phos(光)+phoros(運ぶ)<ギリシャ語>
…白リンが,吸収した光をリン光に変えて放つので。
S(Sulfur): sulpur(イオウ)<ラテン語>
…硫黄の接頭語であるthio-は,theion(イオウ)<ギリシャ語>
Cl(Chlorine): chloros(黄緑色)<ギリシャ語>
…chlorosはクロレラやクロロフィルの語源にもなった。
Ar(Argon): an(否定語)+ergon(はたらく)=はたらかない<ギリシャ語>
…ergonはergという仕事単位やエネルギーの語源にもなる。


【第四周期】
K(Potassium): Potash(草木灰)+ium(金属の語尾)
Ca(Calcium): calx(石,砂利)+ium(金属の語尾)<ラテン語>
Sc(Scandium): メンデレーエフの祖国スウェーデンのラテン語名スカンジアから。
…メンデレーエフは周期表を作り,スカンジウムの存在と性質を予想していた。
Ti(Titanium): 巨人タイタンはオリンポスの神々との戦いに敗れ,地底の冥界に閉じ込められた。<ギリシャ神話>
神々によって鉱石中に閉じ込められたとされていたから。
V(Vanadium): 女神バナジスにちなんで命名された。<スカンジナビアの神話>
Cr(Chromium): クロマ(色)<ギリシャ語>…つづりがわかりませんでした。
…酸化状態によって紫・赤・黄・緑などに色が変化するので。
Mn(Manganese): 当初鉱石マンガナスに由来して,マンガネシウムと名づけられたが,マグネシウムと紛らわしいので,マンガンと呼ぶように提案された。
Fe(Iron): 英語Iron…鉱石aes<ラテン語>,ドイツ語Eisen…鉄の光沢が氷(Eis)に似ているから。
元素記号Fe…firmus(かたい,強固)を意味するferrum<ラテン語>
Co(Cobalt): ドイツのザクセン地方の鉱夫たちが,銀鉱石によく似た鉱石から銀を作ろうとしたが成功しなかったので,民話に出てくる山の精・悪霊コボルト(Kobold)の仕業と考えてその鉱物をコボルトと呼んだことから…らしい。
Ni(Nickel): 銅を含んでいない鉱石とは知らずに銅を精錬しようと何度も試みた冶金師たちが,山の精霊ニックのせいと考え,この鉱石をクッフェルニッケル(Kupfernickel:銅の悪魔)と呼ぶようになった。
Cu(Copper): 古代の銅鉱山の中で特に有名なのが地中海のキプロス島(Cyprus)にあり,語源にもなっている。
Zn(Zinc): ・角膜白斑あるいは白い鉱床<ラテン語>
・溶鉱炉中で尖頭状に沈殿するのでZinke(櫛やフォークの歯のようなとがったもの)から。<ドイツ語>
Ga(Gallium): 発見者ボアボードランの祖国フランス(Gallia)<ラテン語>
Ge(Germanium): 発見者ウィンクラーの母国の古名ゲルマニア(Germania)
As(Arsenic): 黄色の顔料(雄黄)(arsenic)<ギリシャ語>
Se(Selenium): テルル(語源:ラテン語の地球)に似た性質なので,対応させて月(selene)<ギリシャ語>
Br(Bromine): 刺激臭・悪臭(bromos)<ギリシャ語>
Kr(Krypton): 隠れた(kryptos)<ギリシャ語>


【第五周期】
Rb(Rubidium): 赤い(rubidus)<ラテン語>
…紅雲母と呼ばれる鉱物から光や熱で赤い2本のスペクトルをだすので。
Sr(Strontium): スコットランドのStrontian地方特産のストロンチアン石に炭酸ストロンチウムとして含まれるので。
Y(Yttrium): スウェーデンのイッテルビー(Ytterby)で発掘された鉱石に含まれるので。
Zr(Zirconium): ジルコン(zarqun:金色)<アラビア語>
Nb(Niobium): タンタロスの娘のニオベ(Niobe)にちなんだ。<ギリシャ神話>
Mo(Molybdenum): 鉛色をした鉱石の総称。特に方鉛鉱をモリブデンと読んでいた。鉛(molybdos)<ギリシャ語>
Tc(Technetium): 人工の(technikos)<ギリシャ語> …人工的に作られた最初の元素なので。
Ru(Ruthenium): ロシアのオサンが発見したと信じられ,そのためにロシアの古地名Rutheniaから名づけられた。
Rh(Rhodium): バラ色(rodeos)<ギリシャ語>
ロジウムの塩の水溶液がバラ色なので。
Pd(Palladium): 発見年1803年の前年1802年に話題になっていた小惑星Pallas(アテネの守護神パラス・アテネーの異名)から。
Ag(Silver): 元素記号:輝く・明るい(argentum)<ラテン語>
Cd(Cadmium): フェニキアの伝説上の王子カドムスにちなんだ。<ギリシャの地名でもある>
In(Indium): スペクトルの色がインジゴ色(indicum)<ラテン語>
Sn(Tin): スズ(Stannum)<ラテン語>
Sb(Antimony): 元素記号:アイシャドーに使われていたので,眉墨(stibium)。<ラテン語>
英語:(曖昧)アンチ+モノス(天然に単独で見出されない)<ギリシャ語>
Te(Tellurium): ウランに対抗して,地球(tellus)。また,ローマ神話で大地の女神の名でもある。<ラテン語>
I(Iodine): ヨウ素が熱されたとき発する蒸気のすみれ色から,すみれ色(イオーデス)。<ギリシャ語>
Xe(Xenon): 揮発しにくいことから,異邦人・なじみにくいもの(xenos)<ギリシャ語>


【第六周期】
Cs(Cesium): 2本の輝線スペクトルが青色なので,青空色(caesius)。<ラテン語>
Ba(Barium): 既に知られていたアルカリ土類金属元素より重い(barys)<ギリシャ語>
La(Lamthanum): ランタン〜ルテチウムを希土類元素・ランタノイドという。ランタンは,隠れる(lanthanein)<ギリシャ語>
Ce(Cerium): 元素の発見当時に小惑星一号として発見された小惑星セレスにちなんだ。
Pr(Praseodymium): 青みがかった緑(prason:ニラ・西洋ネギ)<ギリシャ語>
Nd(Neodymium): 新しい双子(ネオジジミウム)=新しい(neos)+双子(didymos)<ギリシャ語>
Pm(Promethium): 人類に火をもたらした火の神プロメテウスにちなんだ。<ギリシャ神話>
Sm(Samarium): サマルンスキー石にちなんだ。
Eu(Europium): ヨーロッパにちなんだ。
Gd(Gadolinium): 最初に発見された希土類元素のイットリウムを発見したガドリンの功績をたたえた。
Tb(Terbium): スウェーデンのイッテルビーからとれたガドリン石から発見されたので,イッテルビーから名づけられた。
イットリウムをアンモニアによる水酸化物の分別沈殿とシュウ酸による分別沈殿によって三種の成分に分けた一つなので。
Dy(Dysprosium): 発見するのが難しかったので,近付きがたい(dysprositos)<ギリシャ語>
Ho(Holmium): ストックホルムの古名(Holmia)にちなんだ。
Er(Erbium): イッテルビーから。
Tm(Thulium): スカンジナビア半島の旧地名Thule,スウェーデンの町ツーレ,世界の最果ての極北の地ultimate Thuleを記念したなどの説がある。
Yb(Ytterbium): ガドリン石を産出したイッテルビーにちなんだ。
Lu(Lutetium): 発見したのがフランスのユルバンだったので,パリの古名ルテチア(Lutetia)を記念した。
Hf(Hafnium): コペンハーゲンのボーア研究所で発見されたので,Hafnia<ラテン名>
Ta(Tantalum): 発見のさまざまな困難を例えて,タンタロスにちなんで名づけた。<ギリシャ神話>
…タンタロスはゼウスの怒りに触れて地獄の湖中につながれ,のどが渇いて水を飲もうとすると水が退き,頭上の果物をとろうとするとそれも退くという罰を科されたという。
…英語のtantalizeは「じらして苦しめる」という意味。
W(Tungsten): タングステン:重い石(tungsten)<スウェーデン語>
元素記号:スズを狼のようにむさぼり食べる鉱石(wolffart) …スズを精錬する際,スズとタングステンを混ぜると複雑な化合物が出来るから。
Re(Rhenium): 発見者たちの祖国の大河ライン川Rhenus<ラテン語>
Os(Osmium): 四酸化オスミウムの強い臭いから、osme(臭い)<ギリシャ語>
Ir(Iridium): イリジウムの塩類が虹のようだから虹の女神Irisにちなんだ。<ギリシャ神話>
Pt(Platinum): 外観が銀に似ているので、銀plataの縮小詞platina(かわいい小粒の銀の愛称)<スペイン語>
日本語の白金はヨーロッパでWhite goldと呼ばれていたから。
Au(Gold): 元素記号のauは、金aurum<ラテン語>
英語のgoldは、ghel(黄金)<インド・ヨーロッパ語>
Hg(Mercury): 元素記号のHgは、水のような銀という意味のhydrargyrum(hydro(水)+argyrum(銀))<ラテン語>
英語のMercuryは、水銀が流動性に富み生物のように駆け巡るので、翼をもつ使者である商売の神メリクリウス(mercurius)に由来する。<ローマ神話>
Tl(Thallium): 緑色の炎光スペクトルを発するので、「新緑の若々しい小枝(thallos)」にちなんだ。<ギリシャ語>
Pb(Lead): 元素記号のPbは、鉛を表すplumbumが由来であるが、その起源は明確でない。<ラテン語>
Bi(Bismuth): 英語のBismuthはWissmuth(Wismut)が由来であり、Wissmuthの由来はwissmaja(安息香のように容易に溶ける金属)らしいが詳しいことはわかっていない<アラビア語>
Po(Polonium): 発見者のマリー・キュリーは当時祖国のポーランドをロシア帝国の支配から解放する運動に強い関心を寄せていたので、祖国の名前からつけた。
At(Astatine): きわめて不安定な元素なので、astatos(不安定)<ギリシャ語>
Rn(Radon): ラジウムの懐変によって生成するから。

参考文献:元素111の新知識<BLUE BACKS>

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